「分かってたんだったら、防げたんじゃねーの？」
和樹が不意に発した言葉。それは今のアタシの心に鋭く尖ったナイフのように突き刺さった。心がズキズキ痛む。
「ごめんなさ…。」
「おい！」
アタシの言葉を賢也が遮った。
「そんな言い方ねぇんじゃね？」
「俺は正論を言ったつもりだ。本当は見えてねぇんじゃねぇのか？」
和樹がちらりとアタシを見た。と、同時に、賢也が和樹につかみ掛かった。
「賢也！」
「てめぇ…！」
「何だよ、やんのか？ああ？！」
和樹は１６歳。賢也はアタシと同じ１４歳。２つも歳が離れてる。絶対に敵わない。
「けん…！」
「お前等ええ加減にせぇ！」
アタシの声を遮ったのは、ジェームスさんでもなく、エレナさんでもなく、ダニエルでもなく、みどりだった。
「へ？」
「え？」
二人は睨み合うのを辞め、みどりを漫画に書いたように目を点にしながら見ていた…、いや、正確にはみんなが。無理もない。みどりは、みんなの中では大人しい方だったから。ましてや関西弁だなんて。
「関西弁…。」
ポツリと由香里が言った。