「あの時のあの慌てた顔!珠璃にも見してやりたかったよ。」
「…プッ!!」
「あ?」
「アハハ!アハハハハ!」
アタシは思わず笑い出してしまった。
「何笑ってんだよ、珠璃…?!」
賢也が顔を少し赤く染めながら言った。
「だって!アタシは別に一人でも大丈夫だし!子供じゃ無いんだから!そんな心配しなくてもいいのに!心配し過ぎだって!二人共心配性だなぁ!アハハ!あ!顔赤くなってる!」
「…うっさい!なってねぇよ!」
賢也がアタシの頭を軽く叩いた。

―知ってる。賢也はアタシの幼なじみ。照れ隠しの癖くらい知ってる。賢也はいつも言った人の頭を軽く叩くんだ。

「うわぁ!暴力反対~!」
「~っ!」

―その後は…。

「ちょっと外出てくる。」

―ひとりになれる場所を探して…。

「はぁ~…。」

―特大のため息をついて。

「…バカヤロ。」

―誰に向けてるのか分からない言葉を発して。

―みんなの元へ戻るんだ。

「素直になれよ、俺…!」

―え?