「あ。」
ダニエルがいきなり言った。
「どうしたの?」
「誰かが珠璃を呼んでる。」
「へ?」
「そのネックレス。」
ダニエルは、エレナさんに貰った鍵のネックレスを指差した。
「それ、無線機。」
「むむっ…、無線機?!」
「ああ。何も聞いてなかったのか?」
「うん。アタシはただ渡されただけ。」
「ちょっと待てよ…。」
ダニエルはネックレスを手に取ると、力を込め始めた。
「何してるの?」
「…ん!これで使えると思うけど。裏のボタン押してみたら?」
「ボタン?」
見ると、本当に裏にボタンがついていた。
「押すの…?」
―ピッ!
―ザー…!
「あっ!珠璃さんっ?!」
「え…?エレナ…さん…?」
「よかった…!無事ですか?」
「はい。」
「黒うさぎ様っ!珠璃さんです!」
「本当っ?!珠璃っ?!」
「ジェームス…さん…!」
「よかった…。」
「ごめんなさい…!迷惑かけた事と…、嫌いって言った事…。」
「いいよ!それより、今どこ?迎えに行くから!」
「あ…。今は…、ダニエルの…家…です…。」
「ダニエル?!…隣に居る?」
「はい。居ます。」
「ちょっと代わってくれる?」
「はい…。ダニエル、ジェームスさん。」
「俺に?!」
ダニエルは少し戸惑いながらも、首から外したネックレスを受け取った。