「しばらくして、最初から親父に持たせてた無線機で連絡を取ろうとした。でも…、いくら呼び掛けても…、返事は無かった…。」
ダニエルの目が、怒りに満ちていた。
「親父は…、何一つ、整備も整ってない、未完成の異次元空間に飛ばされたんだ…。ジェームスは、親父の好奇心旺盛な性格を利用して、実験台にしたんだ…!」
ダニエルの拳にぎりぎりと、力がこもり、フルフル震えていた。
「結局…、親父は帰ってこなかった…。」
―ポタッ…。
ダニエルの目から、雫が落ちたような気がした。
「ダニエル…?泣いてるの…?」
「泣いてなんか…ねぇよ…!」
「嘘…。泣いてる…。」
「…親父は…、俺にとって、残りのただ一人の家族だったんだ…。」
「え?」
「お袋は…、小さい時に死んだ…。」
「でも、ソフィーは?!妹じゃないの?」
「お袋が小さい時に死んだってのにあんな小さい妹が居るかよ。」
「あ…。そっか…。」
アタシは一人で納得していた。