「どうした?」
「え…。」
「毒でも入ってるかと思ったか?んなモン入れて殺すほど俺はセコくねぇよ。」
「…。」
それでも飲もうとしないアタシを見て、ダニエルはマグカップを手に取り、一口飲んだ。
「なっ…!」
「これで分かったか?毒なんか入れてねぇっつの。」
「…うん。」
「飲め。森の中は寒いから、体冷えてたみたいだし。温まるから…。」
「うん。ありがと。」
―ゴクリ。
「ど?」
「…おいしい。」
「だろ?俺の作るココアは世界一だぜ?」
「プッ!それは、ありえない~!」
アタシはアハハ、と笑った。
「…やっと笑った。」
「へ?」
「ずっと笑わなかったから…。俺は珠璃の泣いた顔と怒った顔しか見てないから…。」
ダニエルがアタシの頬に手を添えた。
「ダニエル…?」
「珠璃…。好きだ…。」
「ダニエル?冗談でしょ?」
「冗談なんかじゃない。本気だ。」
ダニエルが顔を近づける。
「ダニエ…ル…?ちょ…!やめて…!」
それでも、ダニエルの顔は迫ってくる。
「や…!」
アタシは固く目を閉じた。
「な~んてなっ☆」
「へ?」