「珠璃…。もう戻ろう…。」
賢也がアタシの肩を支えながら言った。
「そうだよ、珠璃。しっかり休まないと。」
ジェームスさんもアタシのもう片方の肩を支えながら、ドアの方へ歩き出した。

『千尋さん…。どうか、安らかに…。』

アタシは千尋さんに向かって心の中でそれだけ言うと、ジェームスさんと一緒にドアに向かって歩き出した。
ドアノブに手を伸ばし、回そうとした瞬間―!

『珠璃…。ありがとう。』

「えっ?」
「は?」
「ん?」
アタシの声に続き、賢也、ジェームスさんが声を上げた。
今聞こえた声は紛れも無く…。
「千尋さんの…声…!」