「千尋さん…。アタシ…、分かってたのに…。救えなくて…、ごめんなさい…。夢で見ました…。あれは千尋さん…、あなたでしたよね?すごく苦しそうで…。アタシは夢の世界でも、現実の世界でもあなたを助ける事ができなかった…。本当にごめんなさい…。」
アタシは決して返事が返ってこない相手に向かって話しかけ続けた。
「…そう。ちょうどここでした…。」
アタシは部屋の端にあった椅子に座った。
「ここからあなたの事を見てました。あなたが銃を突き付けられた時から、息絶えるまで…。何の感情も無しに…。それで…、あなたの血に触れた時に眼が覚めたんです。」
アタシは立ち上がり、夢と同じように近付き、千尋さんのまだ乾ききっていない血を触った。
「…今までの出来事が全て夢で…、あの時のように目覚めれたらいいのに…。」
アタシの頬には一筋の涙が流れ、ポタッ、と音を立てて床に落ちた。