人数の多さに圧倒されて、私達を取り囲んでいた先輩達は顔が強張っていく



「なんだよ、お前らッ!俺ら先輩だぞ!!」


一人の先輩がみんなに向けて叫ぶが、私には強がりに聞こえた

その時集団の中から誰かが前に出てきた



「そいつは俺らの大切な仲間なんです」

『…浅田くん』


私の事を嫌がっていた浅田くんが先輩達の前に自ら立って出た

先輩達の前というのに凛とした表情を崩さずに淡々と話す



「どうか返してください」

「「お願いします!!」」


全員が先輩達に平謝りをして顔を上げない

ただ、仲間として私達を助けようとしている姿に胸が締め付けられて目頭が熱くなる