―…
「……」
キャリーケースを引いて、私は搭乗便前に立ち止まった。
【アメリカ行き 12:30】
「後30分はあるけど、もう中に入ろうかしら?」
梢は時間を確認して荷物を預ける為、再び歩き出した。
―…
『着いた!』
「早く中に入るぞ!!」
先に走った蓮の後を私は慌てて追いかけた。
中に入り直ぐにアメリカ行きの画面が目に飛び込んだ。
「12:30…今って…っ」
『……12:31』
携帯の時計を見た瞬間、私はその場に崩れ落ちた。
『間に合わなかった…っ』
せっかく二人が笑えるのを見れると思ったのに、どうして神様は意地悪なのよ。
「いいよ、朱祢」
『蓮』
「会えなくなっても、電話で話すしさ…」
そう言った蓮の表情は眉毛を下げて、寂しげだった…