―…カシャッ



「いいわよ、傘なんて」


無表情で私の傘を振り払って、水たまりに傘が落ちた。



「何で」

『え?』

「何で私に優しくするの?恨んでないの?」


確かに反対されて、少しムカついてるけど…



『さっきと今は違います!』

「は?あなたバカ?」

『う゛、バカは否定出来ませんが…』


って、こんなこと話してる内に、お母さん濡れて体が冷えるし!!



『兎に角、行きますよ!』


お母さんの手を掴むと、やはり冷え切っていて詰めたかった。



「蓮のところなら『私の家です!』


お母さんが私の顔を見て口が止まった。



「は?!」

『私も蓮と喧嘩したんで、家に帰ります!』

「ちょ!!」


これ以上何も言わせないように、グイッと手を引っ張って、雨の中を走った。