「あのさ…「俺が茅原の事好きかって?」
廊下に走っていった三人の姿が消えると、鋭い視線は俺に向けられた。
「蓮が思ってるような感情は一切無いよ」
ハッキリと言われた言葉は俺の頭の中に響き、俺は肩の力も抜けていった。
「…ただ」
「…っ」
その先を言わずに数秒重いような空気が流れた。
せっかく安心したのになんだよ…っ
「ある人には片思いしてるよ」
「は?誰に?」
朱祢が無いなら他校って事だよな。
いつの間に知り合ったんだよ。
「耳」
「はい」
クイクイと手招きをされて耳を和也に貸すと、思いもよらない名前を出されて、俺は目を丸くした。
「マジ?!」
「マジ」
冗談じゃないかと聞き返すと、和也は否定しなかった。
マジかよ…、片思いの相手が…