そんな感情に浸っていたのは数秒。

直ぐに現実へと戻された重い空気。


これ以上、蓮に関わるのはよそう…



『…もう、行くね』


私は蓮の手からスルリと抜けて、蓮に背を向けた。



今度こそ…、さよならだよね。


軽く息を吸って前へと一歩踏み出した。




「待てよッ!!!」

『!!』


蓮から抜け出した手は再び蓮に寄って掴まれた。

まさか止められるなんて思ってなかった私は目を丸くした。



「待ってるから…っ」


声を絞り出したように吐き出した言葉。

蓮の表情は重く苦しそうな顔をしていた。



「俺、夜…待ってるから」


ドキッと跳ねた鼓動、熱くなる頬。

まさか、一緒に星を見ようって事?!



『は、離してっ!!』


バッと力強く手を上に上げると、蓮の手は意外にも簡単にほどけた。


何でこんな私を誘うの?!

私は蓮を信じきれずに勝手に離れた女なのに…


どうして…っ!!


息を荒げる私の横を今度は蓮がすり抜けて背を向けた。