そして、掴んでる手の主を見て、私は口を少し開けて言葉を失った。




「…久しぶり」


力無く笑うその人は、紛れもなく自分から手放した蓮だった。



『蓮がおじさんの甥っ子さんなの…』


やっと出た言葉がそれだった。



「あぁ、おじさんに会ったわけね…」

『…う、うん』


会話が途絶えて気まずい空気が流れた。



どうしようっ。

何か話さなきゃいけないのに…っ






「ところでこんな岩山に何か用?」

『…あ、星の見える場所知りたくって』

「星ね。案内するよ」


無言で掴まれたままの手を引かれてゴツゴツした足場の悪い岩を歩き渡った。



先に進む蓮の背中が近いはずなのに、遠くにいる感じに見えた。

胸が苦しいよ…






「ここだよ」

『…』


大きな岩山を登れば海が絶景出来る程の景色が広がっていた。



『綺麗…』


太陽の光を浴びている海はキラキラと反射して輝きを放っていた。