「今度、静香の命日なんだ。だから、雫がわざわざ伝えに来た」

「そっか…」

「俺、家引っ越して雫の家と遠くなったからさ…」


゛いい奴だよな゛と、クスッと笑った浅田くん。

確かにいい子だよ。雫ちゃんは…



「まだ一回も行ってないんだ。静香の墓参り」

「…え」

「罪悪感ってやつかな…」


そう言った浅田くんの表情がとても苦しそうに見えて、何も言葉が出ない。



「だから、今年も墓参りは行けねーや」


確かに、静香を死なせた罪悪感は残るかも知れないけど…






「今年は行こうよ…」

「…茅原」


また、お節介かも知れない。
でも、静香さんの気持ちを考えたら…



「きっと静香さんは責めないよ。浅田くんの事最後まで愛してたから…」

「…っ」

「浅田くんが静香さんを大切に思うように、静香さんも浅田くんが大切だったんだよ。だから、病気よりも浅田くんを取ったんだよ」


静香さんとの思い出を思い出しているのか、浅田くんの目には段々と涙が溜まっていく。