「とーちゃーくっ!!」

「うおぉ、さみぃっ」


冷たい風のせいで俺の頬と手は既に麻痺していた。
そんな俺とはうって変わって元気な雫…



「シロー!!ただいまーっ!!」


自転車から降りて玄関前の門を開けると、シロは放し飼いになっていて、雫を見た瞬間飛びついた。



「シロ、久しぶり」

「わん!わん!」


雫の次はしゃがみこんだ俺にまで飛び付いて来やがった。



「わぁっ!シロ!!」

「あはは、良かったね!シーロ!」


顔をベロベロ舐められてシロに押し倒されたままの俺を、雫は呑気に隣で眺めてる。

見てないで助けろつっーのッ!!



「あ!お姉ちゃん!」

「!!」


雫の言葉を聞いて、シロを無理矢理退かして顔だけ上に上げた。



「ただいま雫、…淳もいたんだ」


俺の顔を見た瞬間、眉毛を垂らして悲しい表情をした静香を見て胸が痛んだ。