「たく、本当にバカだよ…」


何かが吹っ飛んだかのようにプッと笑う浅田くんは、いつも私達が見てる浅田くんだった。



『蓮。勉強は?』

「のぉ!!ヤバッ!!」


急いで椅子に座り机に向かう蓮。



「とっとと問題解けよなバカ」

「うっせ」


そんな二人のやりとりを見ておかしくって笑った。





―…



…次の日



私は一人屋上で風に当たっていた。


気がかりなのは、泣いて帰った雫ちゃんの事。

会いたくっても、連絡手段がないし…
浅田くんに聞くのもアレだし…



『雫ちゃんって、浅田くんの彼女では無いよね…』


昨日の会話を聞いて、明らかに他人的な態度だわ、怒るわ…

でも、浅田くんから話すまで待つって約束したし…





―…キィー


錆び付いた屋上のドアが開く音が聞こえて、振り向けば…



『浅田くん…』

「よっ!」


そこに立っているのは、片手を上げて私に挨拶した浅田くんだった。