とても重苦しい空気が車内に漂っている


そして車はあるビルに着いた。



ここが…


この人の会社なんだ…



見上げるほど高いビル


いつの間にこんなにデカくなったんだろう…



あたしはお父さんの後に付いていくので必死だった。


エレベーターに乗っても2人の間に会話はない。



そしてあたしは
[社長室]
と書かれたドアの向こうへと招かれた。


奥のほうにある大きな机
そして机に負けないくらいの存在感のある椅子


「そこに座りなさい」


言われるがままにソファーに座る


お父さんはあたしの向がわに座った。



「久しぶりだな」


「……」


「大きくなった…」


お父さんは昔のあたしと今を重ねて見ているようだった。


「里美に…聞いているか?」

里美はお母さんの名前だ


たぶんこの人が言いたいのは…


「私のことを…預かりたいとのことでしょうか」



「あぁ…その通りだ。」



この人はあたしのことを


説得するために呼んだんだ。


「悪いことは言わない。お父さんと一緒に暮らそう?」


あたしは首を横に振った。

「あなたは…私にお母さんを捨てろと言うのですか?」



負けない…