目の前には自分と血を分けた人


そして自分に似た人


お母さんが嫌った人



「久しぶりだな…佑芽菜」



あたしは何も言えなかった


「話したいことがあるんだ今いいか?」



「お母さんに…言ってみます…」


あたしはその場から逃げようとした


でも…


「電話はうちの秘書に後でかけさせる。お前させよければ車に乗れ」



あたしはどうすることもできず


車に乗り込んだ。



これから話すことは
だいたいわかる


あたしはその返答を考えていた。



車の中は広くて
椅子はフカフカしてた。


本当なら誰もが憧れるような車内だろう



でもあたしは


この車には乗りたくなかった…


お父さんと
向かい合わせに
なりたくなんかない



この車を今すぐ降りてやりたい