で、それからあの子は聞いたんだ。
『アイス、好き?』って、オレの顔をのぞき込んで、優しく微笑みながら……。
あれは絶対3歳児とかに話しかける口調だったよな。
子どもだと思われたのはこっちか……。
「純太、何ニヤついてんだよ」
へッ?と顔をあげると、ヤスこそニヤついてこっちを見ている。
「あ? 二ヤついてねーし」
そっぽを向いたら、ヤスはクスクス笑った。
「いーじゃん、気に入ったんなら、つきあっちゃえば」
「バーカ。だから向こうがナイって」
「こっちはアリなんだ?」
「ねーよ、バカ」
読書を再開したら、ヤスがゆるりと言った。
「確かに……真面目そうだし、向こう的には純太なんかに引っかからないほうがい-んだろうけどな」
「なんだ、その言い方」
「でももう引っかかっちゃったんじゃない? 月島は」
とヤスは続けた。