「一年生かと思った」
ボソッとつぶやいたら、ヤスが笑う。
「お前ってホントに他人に関心ねーのな。一年間も同じ教室で過ごしたのに顔も知らねーとか、失礼だろ。まさかあの子にそれ言ってないだろうな?」
「え?」
「『何年生?』とか聞いてねーよなって話」
「うん……」
オレはムスッとそう答えた。
ウソだ。聞いた。『何年生?』って。
そう言えばビックリした顔してたっけか。
だけど、ちょっと目が合うたびに真っ赤になっちまうから、同い年だなんてとても思えなかったんだ。
そのくせアイス食ってるとき、ノリで『あーん』っつったら、
あの子は真剣そのものな顔をして、アイスをスプーンに乗っけて、オレの口に運んだ。
落とさないように慎重に、慎重に。