「は? バカか、お前ら」
ジロリとにらんだが、ヤスのテンションは下がらなかった。
「だって純太、手を繋いだんだぜ? みんなの目の前で月島の手をとって颯爽と出て行ったんだから。マジやばかった、あれ」
やたらハイなヤスの横で、「うんうん」と修吾が満足げにうなずいている。
バカか、ホントに。
意味わかんねーし。
部屋を見渡し、翠たちがもう帰ったらしいことを確認してから、オレは言った。
「翠のせいで大変だったんだからな」
あんときあの子は……じっと下を向いて泣くのをガマンしてた。たぶん。
「あー、翠は純太に惚れてるからな」
修吾が苦い顔をする。
「いや、ありゃもうストーカーだな。純太に彼女ができるたびに呼び出して文句つけてるらしいし」
とヤスも言った。