だからオレは冷蔵庫の料理を全部食べ尽くしてしまわないように、こうしてカップめんやコンビニで何か買って食うことにしてるんだ。




オレが食ったり食わなかったりするから、

母親も料理を、作ったり作らなかったりしている。




夜勤や、どっかのおっさんとのお泊りデートの予定が急に入っても、翌日のオレの飯を気にする必要はない。


オレの父親とは、オレがその顔を記憶にとどめる前に離婚済みだから、なんの遠慮もいらないわけだし。




こっちも適当にやっとくから、
そっちも適当にやればいい。


そうじゃないと息苦しいんだ……。




“お互いに向き合わずに生きる”


それがオレと母親とのここ数年間の“ふたり暮らし”における暗黙のルールだった。