道に落ちているクッキーの食べかすに群がる蟻のように、日曜日の遊園地は人が多い。

丸いクッキーが日常だとしたら、そこからこぼれ落ちたカスが土曜日、日曜日だ。そこに一心不乱に群がる蟻は、こぼれ落ちた日常を特別だと勘違いして余すことなく取り込もうとする奴隷とでもいえようか。

少なくとも俺はそう感じた。

天気もいい日曜日の遊園地は家族連れが大半を占めている。

俺は遊園地の入口で加穂留を待っている。
時間は11時45分。時間まではまだある。

あの写真の通りだったらすごいかわいくて目立つ子が来るはずだ。

そんな子が俺のことを知ってるなんてあり得ないし、こちらとしては見たことすらない。

そんなことを考えているとき、周りがざわつきはじめ、人混みができはじめているのが見えた。

なんだ? 日曜日にテレビの収録かなんかか?
有名人でも来たのか?

何もこんな日曜日に来なくても平日に貸しきってやりゃいいのに。

と、心の中でくだを巻く。表立って言えないから。
裏に住む人間としては、陽の光をさんさんと浴びて白い歯を見せながら決め顔で笑う表の住人がすこぶる苛立たしい存在に映る。