「ママも可愛いからもう一つサービスだ」



そう言っておじさんは特大綿菓子をもう一つ差し出してくれた。



「あ、ありがとうございます」



だけど既に一つ持っているから、もう一つ受け取るとベビーカーが押せなくなる。



だけどせっかくの好意をムダにしたくないし。


……どうしよう。


せめて袋に入れてもらえないかな。



「嫁と息子にサービスありがとうございます」



どうしようか考えていると、後ろからリュウの声がした。



スカッシュ系の香りと共に、さり気なく隣に並ぶリュウの横顔を見る。



わざとらしいくらいの満面の笑みを貼り付けているけど、なんだかちょっと不機嫌そう。