初対面の人の前で泣いちゃうなんて、大失態もいいとこだし。
はぁ。
何やってんだろ。
「とりあえず、軽く1杯飲みませんか?」
困り顔の平岡さんは、あたしに優しく言ってくれた。
気を遣わせちゃってるのが申し訳ない。
でも、せっかくだし。
こんな日は飲まなきゃやってられない。
「……そうですね」
「なーんてね。社長の奥さんと飲んだりしたら、俺社長に殺されますから。飲みたきゃ社長と飲んで下さいよ」
平岡さんはあたしの腕を掴んで立ち上がらせる。
な、なにっ?
なんで?
誘って来たのは平岡さんなのに。
「ほら、戻った戻った。俺、今から彼女とここで飲む約束してるんで」
「えっ?彼女?」
平岡さん、彼女いたんだ?
しかも、ここで?
ってことは、会社の人?