そんなことを思うと涙がこぼれ落ちそうになったけど、あたしは笑顔を崩すことなく良い嫁を演じきった。


すっかりお開きとなり、帰る人や泊まる人がそれぞれ動き出す。


ちなみに宿泊代は全部会社持ちらしく、泊まる人の方が圧倒的に多かった。



「疲れただろ?俺も疲れたし、そろそろ部屋行こうぜ」



すでに寝てしまった美久を抱くリュウ。


李久はベビーカーの中で寝てしまった。



「ゆっくりお休み下さいね」



「ど、どうも……」



大久保さんにニコッと微笑まれ、なんだかすごく惨めな気分。


もし本当に浮気してるんだとしたら、あたしに対して笑いかけるなんて出来ないはずだよね。


あたしだったらムリだよ。



エレベーターの中は無言だった。


リュウは機嫌の悪いあたしに対して、何も言わない。


もしかしたら、リュウも怒ってるのかもしれないけど。