「「「乾杯」」」
乾杯の挨拶が交わされて、周囲が一気にざわつき始めた。
みんなお目当ての料理やお酒を嗜んで笑っている。
今日はあたしも久しぶりに飲みたいな。
でも、ダメかな。
「ママ、ケーキ!」
「その前にご飯食べなきゃ」
「やだー!」
美久は人混みを掻き分けて走って行く。
会場には子ども連れの人もそれなりにいたから、ホッと胸を撫で下ろした。
「勝手にうろちょろしないのっ!」
李久のベビーカーを押して歩くのは一苦労で、かなり邪魔になる。
だからあたしは、ベビーカーを隅っこに寄せて李久を抱き上げた。
ヒールで李久を抱くのは不安だったけど、ゆっくり慎重に歩けば大丈夫だった。