美久と李久の顔をリュウと同じように頬を緩めながら見て、優しく頭を撫でてくれた。
「じゃあ、私は忙しいんでこれで失礼するよ。たまには家族で遊びに来なさい」
あたしに向かってニッコリ微笑むと、リュウのお父さんはコツコツ足音を鳴らしてホテルから出て行った。
「あのクソ親父、妃芽の前ではいい顔しやがって」
「なんか、イメージと違う」
「ああ。大分丸くなったな」
「今度、遊びに行こうね!」
「……ああ」
嫌そうな声を出しながらも、リュウの横顔は嬉しそうだった。
「辰巳社長、そろそろお時間です」
「え?ああ、もうそんな時間か」
「はい。今日はお得意先の土方グループの御曹司も来られていて……失礼のないようお願い致します」
「はぁ?当然だろうが」
「そうですか。ならよろしいんですが、いつものように気に入らないからと言って態度に出されては困りますので」
こ、この人。
案外ズバッと言うタイプなのね。