真っ赤なルージュが良く似合っている大人な女性。


スタイルも良いし、全てにおいて負けた気がした。



「あの……!社長がお呼びですよ」



「えっ?」



思わずジッと見つめてしまっていると、大久保さんが視線をチラッとリュウの方に向けた。



つられてそこを見ると、リュウと目が合って手招きされる。


周囲からの視線を感じながら、あたしは李久のベビーカーを押してリュウの元へと向かった。



タキシード姿が良く似合ってて、相変わらず整った顔立ちのリュウ。


隣に立つのがあたしで、何だかすごく申し訳ない気分。



「嫁の妃芽と、息子の李久だから」



「ど、どうも!主人がいつもお世話になっております」



目の前の年配の人に、深々と頭を下げる。


その人はちょっと怖かったけど、雰囲気が何となくリュウと似ていて。


高級なスーツをパリッと着こなし、良く出来そうな男性だった。



「妃芽さん……か。息子がお世話になってるね」