結局、キスマークのことには触れられないままリュウは寝てしまった。


疲れているのか、最近は早い時間に寝てしまうことが多い。


洗い物をして一通りの家事が終わった後、李久を抱いて立ち上がる。



「美久、寝るよ」



「はーい」



リュウが疲れている時は、あたしが2人を寝かせる。


あたしもそのまま2人と寝ちゃうことが多いから、最近はリュウと一緒に寝てないなぁ。



「ママー、今日ね!パパが帰って来た時、シャツからいい匂いがしたよ」



布団にゴロンと寝転んだ美久が、無邪気にあたしに笑いかける。



「フルーツみたいな甘い匂い」



甘い……匂いか。


脳裏によぎる真っ赤なキスマーク。


思い出すと胸が激しく締め付けられた。