「今度ホテルで会社の創立記念パーティーがあんだけど、美久と李久を連れて参加して欲しいんだ」



ご飯中、向かい側に座るあたしにリュウが言った。


リュウはビールを飲みながら、まっすぐにあたしを見つめる。



「パーティー?」



「偉いさんがいっぱい来るし、妃芽は気ぃ遣うかもしんねーけど。その偉いさんが、俺の家族に会いたいって聞かねぇんだよ」



「えっ……?」



マジですか。



「疲れたらすぐ帰っていいから、少し顔出すだけでも頼むよ」



仕事のことで、リュウがあたしにこんなことを言って来るのは初めてだった。


今まで大変だったはずなのに、グチや不満も一切言わずにリュウは今日までやって来た。


家族を支えてくれていること、すごく感謝してるんだ。



「大丈夫だよ。その代わり、ご馳走用意しといてね」



「ん?ああ、悪いな」