『あっやば!もう5時じゃん!』
有は焦った。
柊子の肩を叩きながら
『早くバイト行かなきゃ~・・・』
『待ってよ、これだけ借りさせて。』
とCDショップでマイペースにCD選びに没頭する柊子。
『じゃあ柊子のチャリ借りて一人で先行くよ!!』
『あたし帰れなくなるっ』
なんとも自己中な有。
『いいじゃん!尚君に迎え頼みなよね』
『まぁいいや。先に行って』
『またね!』

・・・っありがとうございました!!
店員の声が後ろから聞こえた。
有はかばんを自転車の籠に放り込むと車と並ぶぐらいの速さでそれはそれは見事な立ち漕ぎ・・・
いや、言い過ぎましたね。
(あ~また遅刻ギリギリだわ)
目的地は目前--
自転車を置き店の中まで走った。
走れメロス!走るんだユウ!
『おっはようござーます!!』
有は店に入るなり大声で挨拶した。
『有ちゃん~5分前には来なくちゃ遅刻同然だよ~?』
『は、はい・・・』
『次からは気をつけて早く着替え済ませてきて』
『は~い。』
(あぁ、セーフ)
有が働くのは某お弁当屋。
(そうそう、ここ唐揚げ弁当うまいんだよ!)
こらこら、ナレーションの邪魔するな。
有はナレーションを気ずかないふりをして仕事を始めた。