「さっき、私、石森さんと仲良くなりたかったと話したわよね。あれには、もうひとつ理由があったの。
楽しそうに会話をしている女子グループをうらやましそうに見つめる瞳。中沢さんたちに、からかわれて、そっと下唇を噛んでうつむく姿。

きっと石森さんも、私と同じで、心の中にため込んでいる物があるんでしょう?周りを見返してやりたい……心の奥底では、そう思っているはずよ。だから、石森さんのことが、1番に思い浮かんだの。

このチャンスを逃したら、あなたの人生はたいした輝きもなく、終わってしまうはずよ。それでもいいの?」

杏奈自身でさえも気付いていなかった、心の奥底にある欲求を、見透かしたように言ってきたので、ドキリとした。

杏奈は、頭の中で、光子に言われたことを、噛みしめるように思いながら、紙に描かれた天使の羽を見つめる。

……輝きもなく人生が終わるなんて嫌に決まってる。
みんなから、注目されて、主役になりたい。そして、たくさんの人たちから、すごい、と褒められたい。

光子の言葉が、カギとなり、杏奈の欲求が次々と心から溢れ出した。