なんだか、この紙には見覚えがある。

「まさか、これって……」

杏奈が、紙を見つめていると、中央の羽に光子がピカピカの10円玉を1枚置いた。

「そう、こっくりさんに似てるでしょう。私も最初、そう思ったわ」

こっくりさんとは、キツネの霊を呼び出すもので、漢字で書くと、狐狗狸さんとなる。

杏奈は、こっくりさんをしたことはなかったが、やり方は知っている。

10円玉に、人差し指をあて、こっくりさんの名を繰り返して、呼び出す。
質問をしていくと、10円玉が勝手に動きだし、答えてくれるのだ。

昔、子供たちの間で、流行り、友達同士で、こっくりさんをして、遊んでいたらしい。

しかし、中には集団で倒れたり、自殺騒動などもあり、こっくりさんをすること自体、禁止する学校も多かったという。

こっくりさんの呪いだ、と恐れられていたが、実際は、人差し指をあてた人間が、無意識に動かしただけで、自分自身に強い暗示をかけたことが原因という説が、有力だった。

しかし、まさか、こっくりさんのような方法で、マリア様を呼び出すとは、杏奈は思いもしなかった。