夢の中で、光子はあまりのまぶしさに目を閉じていた。

『使い人……使い人よ』

マリア様が、そう呼びかけてくる。
光子は、ゆっくりと目を開けた。

逆光で、顔は見えないが、神々しいシルエットが浮かびあがっている。

光子は、マリア様に深々と頭を下げた。

「ああ、マリア様。私の願いを叶えてくださって、本当にありがとうございます!」

マリア様の、上品な笑い声が頭上から、きこえる。

『使い人よ、顔をおあげなさい。あなたの清らかな心が、わたくしを呼んだのです。感謝するのは、むしろわたくしの方でしょう。
使い人のあなたには、これから次の人間に幸せを分けてもらいたいと、考えています』

「次の人間にですか?」

『使い人よ、わたくしは、すべての人間を幸せにしたいと考えています。だから、そのためにあなたに使い人になってもらいました』

すべての人間を幸せにしたいという、マリア様の素晴らしい考えに同意した光子は、使い人という新しい自分を受け入れることにした。

「私、がんばります! マリア様の手伝いができるなんて、とても素晴らしいことですもの」

光子は、感動で体が震えていた。

マリア様から、手をかざされた光子の頭に、使い人としての知識が与えられる。

次に目を開けた時には、光子は夢から覚めていた。