もう、5時を過ぎている。そういえば、今日は再放送のドラマの最終回だった。

そんなことを考えていると、スカートを揺らしながら、光子が教室に入ってきた。

「人がいなくなるのに思ったよりも時間がかかってしまったわね。石森さん、ずっと待っていてくれてありがとう」

「それは大丈夫だけど、話ってなんなの?」

杏奈はすぐに、そうきいた。

うーん、と光子が首を少しかたむけて、なにやら悩んでいる。

「それがいろいろ話したいことがあって……なにから言うべきか、ずっと考えていたんだけど、やっぱり1から順に話そうと思う。
そうじゃないと、信じてもらえそうにないもの。
じゃあ、話すわね。私があの体育館裏のトイレに隠れた時のことから……。

光子は、杏奈の隣の席に座り、語りだした。