サイダーとオレンジジュースとポテチを買って


傘と袋に格闘しながら濡れてる足を気にするひまもなく道をひたすらに歩く


歩いているというのに寒い

雨だからというのも関係あるだろうか


やっと見えた智樹の家
なんとも普通の一軒家だ

何度もお邪魔したことのあるこの家にはもう常連さんになった




ピンポーン




チャイムを鳴らしてからドタドタと階段を降りる音が聞こえる


「遅かったなー待ちくたびれたよ」

「誰かさんがジュースなんか頼むからだ」

「悪い悪い。じゃ上がって」

「おじゃましまーす」

扉をあけた智樹はバッチリ部屋着で出迎えてくれた



「いらっしゃーい、お菓子は買ったんだけどさジュース忘れちゃって。ありがとー」


そういったのはめいちゃん。


「いーえ。あ、智樹腹減ったからなんか食わして」

「昨日のカレーでもいいなら」

「大好物」

「りょ」


智樹の部屋にめいちゃんと俺の二人きり

気まずくはないけど話すこともない


「玉はさ、好きな人いないの?」

「え。どうした?急に」

すっごい直球に聞かれた質問に焦るように答えた

焦ったのはきっとめいちゃんだからなんだろう


「別にたまブサイクじゃないじゃん?ハゲてるけど」

「坊主とハゲは違うけどね」

「いないのかな?って普通に疑問だった」


すらっと流された俺の返事


「いる。って言ったらどうする?」

「誰?って聞く」

「智樹からはなんも」「聞いてない。教えてくれない、いくら聞いても!本人から直接聞けって」


すごい勢いで流された俺の言葉
それよりも気になったのは智樹がなにも教えてないことだよな


「そうなんだ。てっきり聞いてるのかと」

「で、誰?」

「…平林さん」

いざ教えるとなると恥ずかしいけど教えといて損はないしね

「えっ!?彩奈なの!?まじまじまじ!?」

「うん」

「いつからいつから!?」

「1年以上前から」

「うそっ!」 「ほんと」

「うわーびっくりしたー
なんで彩奈なの?」

そっちこそなんでビックリしたんだ

「なんでってわかんない」

「じゃぁどこが好きなの!?」

「わかんない」

「わかんないってどういうこと!?」

「まぁまぁ、めいその辺にしとけよ
はい。カレー」

「どーもー」


めっちゃナイスタイミングで入ってきたな感謝感謝。

確かにどういうことってなるよな
でもどこが好きとはわかんないんだよ
平林さん自体が好きなわけだし、うん