とある日の朝
桜が満開の春だってことだけ教えておこうか
この高校に入学してもう2年が経とうとしてる
あと1ヶ月後には最高学年になる。それなのに俺はもう1年も…正確には1年と3ヶ月勇気を出せないでいる
その話しはのちのちするとして
俺が通ってるこの高校は普通科はなく、めずらしい実業高校。商業系と農業系。全部で4つの学科がある。
そして今日はすっごく憂鬱
別になにか理由があるわけでもない
ただただ嫌なときって誰にでもあるよね、きっと
ほんとそんな感じ
「なーにしてんの?かいちゃん」
「何してると思うー?」
「そんなことよりさ、お前最近どうなん?平林と」
「そんなことよりって。別になんも変わってないよ」
今話しかけてきたのは佐川智樹。同じクラスの友達。バスケ部で名字が前後ってだけで仲良くなった
ちなみに俺は玉井海土。海なし県に産まれ育ったのに海ってついてるのは俺も謎。野球部で中学からずっと坊主
あ、あと平林っていうのはこれまた同じクラスの女の子
平林彩奈。俺の好きな人。1年3ヶ月前からね