教室に入って、友達と挨拶を交わす。
自分の席に着いて荷物を机にしまっていると、キャーと誰かが黄色い歓声をあげた。
「葵先輩じゃん!!かっこいい!」
騒いでいる方を見ると、女の子たちがスマホで何やら見ていて。
それが、すぐに“葵先輩”の写真だと分かった。
「凄い騒いでいるねー。まぁ、確かにかっこいいもん、葵先輩」
夏菜が私の机に来て、頬杖をつきながらそう言った。
女の子たちは、まだ騒いでいてよく飽きないなと思う。
「私たちが入学したときから、騒がれてたよね。そんなにかっこいいの?」
私が夏菜にそう言うと、目を開いて、
「鈴、顔見たことないの!?損してる!!」
凄い勢いで言われて、思わず後ろに下がった。
正直、あまり興味がない私は、名前と学年しか知らない。
というのも、夏菜も同じように騒がれていたから知っているだけ。
そんなことも分かっている筈なのに、夏菜はどや顔説明を始めた。
「佐藤 葵。二年の3クラスだよ。部活はバスケ部」
「何でそこまで知っているの」
「このくらい、皆知っているよ。ちなみに部長だよ。だいたい、部活あとも一人で練習しているんだって!!」
かっこいいよねー、と言う夏菜は目がキラキラしている。
相当かっこいい人なんだろうな。
興味ないけど。