「本当にさー、合格できてよかったよね」


夏菜が、満面の笑みでそう言った。


「うん、そうだね。本当……」


奇跡に近いと思う。


私の頭で、ここまで上げるのは苦労したし、ギリギリだった。


「いないよね」


「え?誰が??」


「ううん。なんでも」

笑いながら、首を横に振る。

もし、奇跡があるなら……。

なんて、考えてもしょうがない。







それから、夏菜と数学の話をしながら、教室に向かった。