だけど……顔しか知らないし、簡単に見つかるはずもなく。


本当にこの高校なのかも、疑わしい。


「……まぁ、期待はしてなかったけど」


ふと、顔を上げるともう門が見えていた。


見学に来たときから思っていたけど、やっぱり立派な門だ。


学校の中も綺麗だし、今はこの高校に入れただけで満足しよう。










「……鈴(すず)!!」


校門前で名前を呼ばれて、振り向く。


後ろから、手を振りながら走ってくる人影。


転ぶんじゃないかと、ひやひやしながら、それを見つめる。


「おはよ!」


「おはよ、夏菜(かな)。今日は転ばなかったんだね」


そう言えば、転ばないよ!と怒る夏菜。


少し話をしながら学校に足を踏み入れた瞬間、まるで雰囲気が変わったよう。


嫌な感じてはなくて、みんな生き生きしているような、ゆったりとしているような。