☆安海side☆
「お疲れ様でした『AZUMI』くん」
「お疲れ様」
新しく発売されるCDのジャケット撮影を終え、俺は皇太さんと一緒に別のスタジオへ向かうため、玄関へ向かっていた。
「・・・由芽」
皇太さんが一点を見つめたまま止まった。
視線の先には、宮田のマネージャーの由芽さんがいる。
何か考え事をしているらしく、顎に手を当てている。
「由芽、どうした?」
「兄さん・・・」
こう言う場面を見ると、頼りない皇太さんもお兄さんなんだなって思う。
俺の兄貴とは大違いだぜ・・・。
「実はね・・・」
由芽さんは語りだす。
「奥本勝也と前田(まえだ)のコンビがユズちゃんに?」
「ええ・・・」
前だ、という人物は知らないけど。
奥本勝也だと・・・?