私は由芽さんに手を引かれ、一回現場を出た。



「大丈夫ユズ」

「奥本、私の本名知ってます」

「奥本は多くの女優に手をかけて引退まで追い込んでいるの。
中には妊娠させたりとか・・・」



嘘でしょ!?

文武両道完璧な王子様って初めに言った奴、出て来い!




「奥本のマネージャーもマネージャー界では悪名で通っているの。
奥本同様、多くの女性に手をかけ、地獄に堕としているわ。

どうも親戚らしくて、奥本が気に入った女優のことを徹底的に調べ上げ、地獄へ堕とす。
気を付けなさい、ユズも。
イチゴちゃんリンゴちゃんが卒業するまで、女優続けるんでしょ?」

「続けます!」

「気を付けて。
監督とかスタッフも気を付けるよう言っていたから。
あたしも何か気が付いたらユズに報告するわね」

「お願いします」

「話は以上よ。戻って良いわ」

「はい」



私は現場に入り、なるべくスタッフさんといることにした。

奥本は不敵に微笑みながら、隣にいる黒いスーツを着た男性に話しかけている。

多分あの人がマネージャーだわ。

気を付けないと・・・。




「では、撮影始めまーす!」