目の前には見覚えのある景色、長く続く廊下


右を見れば絵

左を見ても絵

気のせいかな?なんだか息苦しい

俺は恐る恐る後ろを振り返った

バッ!俺の瞳に映ったものは………またしても絵だった

でもこの絵は他のとは違う

青い空、白い雲

メルヘンチックな建物がたくさん並んでいて、奥には大きい観覧車

ドクンー…ドクン…


落ち着いていたはずの心臓が一気に高鳴る

ここは…………
ここは“あの美術館”

全てが始まった場所


俺はこの絵に吸い込まれて、フリーチルドレンになったんだ

俺が居た街…さっきまで居たはずの場所が絵の中にある

ドクン…ドクン………

か、か…帰ってきた…

戻ってきたんだ……現実世界に、元の世界に………………………

ほ…本当に……?
俺は信じられなかった


…………ッ!!!

勢いよくその場から駆け出し、長い長い廊下をひたすら走った

視界に無数の絵がちらつく

洋風作りの建物、広い天井、高そうな置物

本当に……………?
俺は帰ってきたのか?

疑問に思いながら走り続けた

………ハァ…ハァ…

あの時とまるで同じだ


こんなに無駄に広いのに誰一人と人の姿がない

ハァー…ハァ……


無我夢中で走り、外に飛び出した

俺は息を整え、しっかりと周りを見渡した


そこには紛れもない

俺が居た世界、元の世界の景色が広がっていた