俺はフクにさっきの事は言わなかった
言っても何も変わらないし…またなんかのイタズラかもしれないし
『ってか俺パソコンの授業中ずっと考えてたんだけどさ……』
教室へ向かう廊下の途中でフクが足を止めた
『な…なんだよ…?』
ただでさえ動揺していた俺は慌てて聞き返した
でもフクの話題は全く別の事だった
『カオリの事!』
カオリ?
あいつがなんだよ……?
まさか…………
『フク、カオリが好きなの?』
俺がニヤニヤして顔を覗き込むと
『そーじゃなくて!』と呆れた顔をされた
なんだ…違うのかよ
『んで?カオリが何?』
止まっていた足を進めようとした時
『カオリって施設に住んでたって知ってた?』
フクの言葉にピタリと足が止まった
『え…し、施設って…』
俺が振り向くとフクは真面目な顔をして言った
『こないだカオリが職員室で担任と話してるの聞いちゃってさ…』