まだ鼓動がうるさい

俺は絵の前で立ち尽くしたまま呆然としていた


何か思い出せそうなのに………………
思い出せない


『あーもうッ!何で俺忘れてんだよ……!』

頭を抱え、苛立ちだけが残った、……とその時

ガラッ!!!

勢いよく横のガラス戸が開いた

俺の体はビクッとなり、恐る恐る開いたガラス戸を見てみると……………

……………


『あれー?何か声すると思ったら人居たぁ!』

見知らぬ女の人が立っていた

………?

だ、誰……………


『それにしても随分昭和チックな店だね。何ここ?駄菓子屋なんだ!つーかこれあんたの記憶?』

ベラベラと喋る女の人


焦げ茶の髪色で、髪型はガーリーボブ

背は高くてモデル並みのスタイルで顔も綺麗

って……………
誰?この人…………


俺がじーっと見ていると、その人は真顔で言った

『何よ?あたしに一目惚れしたの?』


え゙?


『し、してません!』


『ほぉー即答するとはいい度胸じゃないの!』


そう言って、俺の顔に近付いてきた

息がかかる程の至近距離


『ち、ち、近いんですけど!つーかだ、誰ですか?』



『メグミ』

え……………

聞き間違いではないかと耳を疑った

暫く考えるように無言になった俺は、数秒後声を張り上げた


『メ、メグミ……!?』


『そう、私の名前は
“メグミ”よ』