千里saidー

あ、7時だ。

祐助そろそろ部屋に来てるかな。

ていうかドア開けっぱなしじゃん。

不用心って怒ってるかな。


「千里ちゃん、見てこれ。綺麗でしょ」

「え?」

平田君の声にはっと意識を戻し、平田君が指さしている上を見た。

そこには……

「綺麗ー!」

7月なのに、桜が咲いていた。

それも満開。


「ここにある桜の木って特別でさ、桜の花びらが散り始めるのは9月頃なんだ」

「へぇー!」

私はあまりの目の前の絶景さに祐助の言葉を忘れていた。

つまり、油断していた。


「千里ちゃん、もっと絶景が見れる場所があるよ」

「え?」

私が振り向く前に……

ドコッ

誰かに頭を殴られ、意識を失った。

意識を失う前に見たのは、平田君のほくそ笑む顔だった。