千里saidー

ウゥーウゥーウッ

俊さんから逃げてきた私は木陰で泣いていた。

本当に泣きたいのは俊さんなのに……。


「千里!」


この声は……

「祐助……?」

泣いて真っ赤に腫れた目で祐助を見た。

こんな顔で祐助に会いたくなかったな。

「……千夏様の事なら気にするな。俺は千夏様の事何とも思ってねぇし、むしろ嫌いなほうだ」


「ほんとに?」

「あぁ」


私が泣いてる理由はそれじゃないんだけどな。


「……じゃあ……じゃあどうして千夏様に手を握られた時振りほどかなかったの?」

「え?」

何言ってるの私。


「好きなんでしょ心のどこかで千夏様の事!ほんとは嬉しかったんじゃないの!?千夏様のところに戻れて!」

ちょっとちょっとちょっと!?

何で私こんな事言っちゃってるの!?


「は?お前何言って「さっさと千夏様の部屋に戻って執事の仕事続ければ良いでしょ!」

祐助の言葉を遮って、私は一気にまくし立てるとその場を去った。


何であんな事言っちゃったんだろ。

心のどこかで思ってたのかな?


人間って……怖い。