「なんで王子は実行委員を自分からやったの、って聞いてるの!」




「あ、言われてみれば…」




たとえ猫かぶりだとしても自分から立候補するなんて…



普通そこまでするか?




じゃ、なんで?



「だから私は汐音と王子がなんかあったんじゃないかって言ってるのよ!」




あ、そゆこと、、、



「でも、会ったことあるのはあの体育祭の時と、公園で会った時だけだし、話したことあるのも1回だけだし…」




ほんと、よくよく考えたらおかしいじゃないか。




「じゃ、その1回だけ話したって時なんかなかったの?」




紅葉が、机に手をつき、身を乗り出して聞いてくる。



なぜそんな熱心になるかね。



イマイチわからん。



「って言っても、転んでたとこ助けて手当てしてあげただけだけど?」




「………っ!絶対それよそれ!それしかないじゃない!
てか『だけだけど?』って言ってるけどそれ、結構なことよ!
無視するとこよ!普通だったら!」



無視するとこ、ってそんなことできるわけない。



猫かぶりでムカつくけど?



困ったときはお互い様よ、お互い様。




「じゃ、頑張りなさいよ?」



え、なにをさ?



私には意味が掴めないまま、紅葉は立ち去ってしまった。