一通り手当てを終わらせてベンチに座る。



「富谷君ってこの近くに住んでるの?」



「近いっちゃ近いんじゃねぇの。
電車で一駅先のとこだし。」



「え。待って。わざわざこの公園に来たの?」



こんな小さな公園に。




「まあな。この公園なんか落ち着かねえ?」




「うん。落ち着く。
毎日ここに来てんの?」




そうだったら嬉しいな。またこうやって話せるかもしんないし。



「いや。落ち着かないときとか気分転換しようかなって思った時だけ。
おめぇこそ毎日来てんのかよ?」



「毎日来てるよ。どんな時も欠かさず来てる。
ここ、私のパワースポットみたいなもんだから。
こんな都会で自然を感じられるのってここしかないような気がするし。」




そう、パワースポット。




「悪りぃな。手当てまでしてもらって。」




「いいのいいの。私が勝手にしたことだし。
それに、謝ってもらうより、お礼言ってもらった方が嬉しいな。」





謝られるとなんかいい気しないよね。




お礼言ってもらえると嬉しいもん。




「!………ありがとよ。」




それに、自分だけじゃなくて相手も嬉しいの。




「じゃあな。それと、このことは言うなよ!誰にも言うんじゃねぇぞ!」




「分かった!バイバイ!
転ばないでね!」




「誰が転ぶかよ!
じゃあな。」


「バイバイ。」




思いっきり手を振る。





その時にはもう空は晴れ渡っていた。